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文庫本消失と宇宙大作戦

文庫本消失と宇宙大作戦

未読のまましまい込んだ創元のSF文庫を探すため、納戸の棚を見上げた。
そこに積み上げた段ボール箱には、不要になったパソコン関連本、音楽系雑誌、重複購入したコミックや新書判の片割れ、ブックオフとヤフオクで収集した未読の小説などが詰まっている。
パイプ椅子を梯子代わりにして、埃まみれになりながら一箱ずつ床に降ろして中身を確認したが、目的の本は見つからない。
他の部屋の押入れや本棚の引き出しを探したが、やはり出てこない。

間違いなく買ったはずで、始めの何ページか読んだ記憶もある。
探している本が量子力学を扱ったハードSFだからといって、以前読むのを止めた時に、観測者の私が「こんな本は初めから買わなかったんだ」という現実を選択した結果、消えてしまったわけではないだろう。だったら、出だしを読んだ記憶も一緒に消えているはずだと思いつつ、いやいやそんな妄想は忘れて、もう一度探そうと考え直した。

探している時間が長くなるほど、読みたい気持ちは増大するもので、再度、納戸に山積した未読本箱の上げ下ろし運動を行い、目的の文庫本が無いことを再確認した後に、いよいよ本屋に向かう羽目になった。
この辺の本屋は品揃えが悪いのだが、「あってくれ」と念じながら創元コーナーに行くと、運よく1店舗目で手に入れることができた。

帰宅後に読み始めた念願の本は、難解なテーマながら今までにない面白さと後述するもうひとつの理由で、読書はじっくり派の遅読タイプにも関わらず、かなり速いペースで読み終わってしまった。
実は量子力学的な現象は、未読本の消失だけではなかった。本屋に向かう前に、もう一つ妄想の種になるようなことが起き、読書のペースを早めたのだ。

納戸にあった未読本箱からハヤカワ文庫の宇宙大作戦(スター・トレック)シリーズが大量に出てきたのだ。一番上の本を手に取り、ページをめくると見返しに印刷された若かりしカーク船長やスポックと再会した。

遠い昔、宇宙大作戦を見た記憶がよみがえってきた。
オープニングだろうか、若山弦蔵的な心地よい重低音のナレーションが流れ、宇宙空間にエンタープライズ号が走り去る映像の断片がうっすらと頭の中でよぎった。
懐かしくなり、「読みたい」と思った。

ネットで調べてみると、私の目の前にある宇宙大作戦の文庫本は、スター・トレックのテレビシリーズをノベライズした、いわゆるTOS(The Original Series)版に属するもので、ほぼコンプリートしているではないか。
何冊か買った記憶はあるが、こんなに揃っているとは・・・
読書欲が40冊以上もの文庫本を現実に収斂して、物体化したのだろうか。いやいや、そんなことはない。単に思い出せないだけだ。

年は取りたくないものだなぁと、自分に言い聞かせるように声に出して呟いてみた。

 

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