最近ファンタジー小説をよく読む。
これまではほとんど本棚には並ばない馴染みのないジャンルだった。
本来SF小説は好きなジャンルなので、SFとの境界がはっきりしないファンタジーに興味を惹かれそうなものだが、本屋の早川や創元コーナーでよく見かけたにも関わらず、なんとなく敬遠してたきらいがある。SFには科学に裏打ちされた設定という建前があるが、ファンタジーは何でもあり的なところが釈然とせず受け入れられなかったのかもしれない。
昨夏に文庫化したハリー・ポッターをきっかけに、勝手に作り上げてきたファンタジー自論を見直すことになった。
現代(近代)を舞台にしたファンタジーもなかなか面白い。現実社会との接点も多く、違和感なく読み進めることができるのだ。スタバや近所にあるファーストフード店舗の活字を目にするとニヤっとしてしまう。
慣れ親しんだ日常に、魔法使い、妖精、ヴァンパイア、人狼などが登場するのだ。
そうした幻獣を描くにあたっても一定の決まりごとがあるようだ。
ヴァンパイアは各地域を統括するマスター、再生、太陽、杭、十字架。
人狼は骨が砕ける変身、群れのリーダーであるアルファー、銀、満月。
こうした道具立ては、西洋における歴史的な趨勢を経て自ずと培ってきたお約束なのだろう。そのお約束が何でもあり的なファンタジー小説の設定に制限というか一定の規則性を生み出し、偏っていた自論をさらに払拭することになったのだ。
特に気にった現代ファンタジーは以下。
- ゲイル・キャリガー
- 早川書房 ハヤカワFT文庫
- 全5巻
- スチームパンク・ファンタジー
19世紀のイギリス・ヴィクトリア朝の歴史情緒とユーモアにみちた、人間・ヴァンパイア・人狼らと共存する世界を描く。
- シャンナ・スウェンドソン
- 東京創元社 創元推理文庫<ホラー&ファンタジイ>
- 既出6巻(全7巻の予定)
- チックリット・ファンタジー
テキサス出身の平凡な女性がニューヨークで就職し、ヒステリーの女上司にうんざりする日々、素敵な魔法使いや宙に浮かぶ妖精、教会の屋根に出没するガーゴイルらと出会う。現代のマンハッタンを舞台にしたキュートなファンタジー。
アニタ・ブレイクシリーズ
- ローレル・K・ハミルトン
- ヴィレッジブックス文庫
- 既出5巻(原書22巻発売)
- パラノーマル・ロマンス
アメリカミズーリ州のセントルイスで蘇生師として活躍するアニタ・ブレイクは吸血鬼ジャン=クロードや人狼のリチャード、多くの獣憑きたちと出会い、様々な事件に巻き込まれながらネクロマンサーとして成長していく。
- カサンドラ・クレア
- 東京創元社 創元推理文庫<ホラー&ファンタジイ>
- 全3巻(各巻上下巻)
- ファンタジー
この世界には人間以外の種族や妖魔といった地下世界の住人たちが存在する。その妖魔を始末するシャドウハンターの活躍を描く現代ファンタジー。2013年映画公開決定。
これを機に、異世界ファンタジーやヒロイックファンタジーなどにも手を伸ばしてみよう。
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