日本ポップス史の源泉を探求し、明治・大正時代のはやり唄から、西洋音楽の普及とレコード技術がもたらした昭和の大衆文化としての流行歌の変遷を考察。

明治・大正はやり唄
日本の流行歌は1868(明治元)年、朝廷の命により江戸へ向かう薩長連合軍の士気を鼓舞するための進軍歌「宮さん宮さん」に始まる。
明治時代の流行歌は「宮さん宮さん」「抜刀隊ばっとうたいの唄」などの軍歌に代表される洋楽調、「お江戸日本橋」「ぎ...

浅草オペラ歌手
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日本で最初に上演されたオペラは、1903(明治36)年、東京音楽学校歌劇研究会による「オルフェウス」である。主演は柴田環、後に世界的プリマ・ドンナとなる三浦環みうらたまきである。
191...

レコード草創期
大正期までの流行歌の主な伝播役は大衆の面前で唄う演歌師であった。
しかし、1928(昭和3)年、日本ビクターと日本コロムビアの2大レコード会社の創立によって、日本の流行歌はレコード時代を迎える。これにより、街頭から演歌師の姿は消えていった...

昭和10年代
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戦前の流行歌手は、主に音楽学校出身者である。音楽学校で発声の基礎を学んでいるので、歌声はよく通り、かつ、発音の明瞭さに優れている。「歌手の個性=声の個性」という良き時代である。また、女性...

昭和20年代
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歌手の歌唱法も多様化し、それは戦後歌謡界の男性歌手・四天王の歌唱に代表される。明るい朗々とした歌声のオカッパル(岡晴夫)、切々と語りかける歌唱のバタヤン(田端義夫)、正統派で甘い歌声の近...

昭和30年代
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戦前・戦後と歌謡界の主流であった音楽学校出身者は昭和30年代に入るとかなり少なくなる。
1946(昭和21)年に、NHK素人のど自慢が始まり、素人が人前で歌を歌う機会が多くなり、歌謡コン...

昭和40年代
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1953(昭和28)年にはテレビ放送が始まり、昭和30年代中頃になると一般家庭にもテレビがかなり普及し、歌謡界もテレビ時代に突入する。 聴衆が歌手に求めるものが「歌声」「歌唱力」という聴...

歌う映画スター
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今でこそ映画俳優が歌を歌ったり、また逆に歌手が芝居をしたりといったことも珍しくなくなった。それだけ本物の歌手、本物の俳優がいなくなったということなのかもしれない。
歌う映画スターの草分的...