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中森明菜『サザン・ウィンド』

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発売日 1984.04.11
作詞 来生えつこ
作曲 玉置浩二
編曲 瀬尾一三

おそらく全シングル中、最も聖子を意識した作品?

作曲が玉置浩二。
安全地帯「ワインレッドの心」が大ヒットした直後の作品で、一躍コンポーザーとしても脚光を浴びるきっかけとなった作品。まぁそれはともかく、なかなかカッコイイ作品に仕上がっている。曲は独特。
「ワインレッドの心」とは違って、サビに入っても特に「歌い上げる」とか「聴かせる」といった作りはしていない、割と平坦なメロディだ。

しかし、その平坦なメロディに歌詞がつくと、とたんにリズム感・起伏が出てくるのだから不思議。
玉置自身、歌手でもあるから、こういう曲作りが可能なのかもしれない。

また、瀬尾一三のアレンジが冴えている。
「サザン・ウィンド」とは言いながら、穏やかな南風ではなく、逆に台風接近のようにスリリングなアレンジを施している。

しかし、決して「血沸き肉踊る」ような興奮はなく、あくまでもドライなのがカッコイイ。

具体的に言うと、全編のシンセドラムが作品に緊張感を与えてるし、トランペットの音色が作品に熱帯ムードを醸し出している。

また、イントロとエンディングにおける、エレキギターのカッティングがドライさを強調している。
さらに、所々でイエス「ロンリー・ハート」っぽいショッキングなアレンジをしているのも、なかなかスリリングだ。

そして、この作品の一番の特徴は歌詞である。
内容は一言でいうと、「異国(?)のマリンリゾート地でのアヴァンチュール」である。
こうしたリゾート地でのラブソングは、アイドル歌手では意外と少ない。
単に海辺やプールサイドを舞台にした作品は腐るほどあるけど、ここまで”リゾート感”の出てる作品はねぇ。

ほとんど松田聖子の独壇場、と言ってもイイくらい(なんでだろう?)。
このような独占状態にあるジャンルに、「サザン・ウィンド」で勇猛果敢に明菜が挑んだとも言えるか?
それとも、ある程度のスター歌手にならないと、この手の主題は歌いこなせないってこと?
そう言う意味ではこの作品、最も聖子を意識したシングルであると言えるかも。

それにしても、同じマリンリゾート作品なのに、聖子版だと「渚のバルコニー」のように甘さやウェット感が出るのに対し、明菜版だと緊張感やドライさが出てくる、と言った具合に全く正反対の作品に仕上がってしまうのは面白い。
ただ「サザン・ウィンド」以降、シングルではリゾート作品をリリースしていないのはちょっと残念。
「Dear Friend」がジャンル的に近いけど。明菜のウィンター・リゾートも聴いてみたかったなぁ。(1999.11.19)

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