中森明菜『飾りじゃないのよ涙は』

中森明菜『飾りじゃないのよ涙は』
発売日 1984.11.14
作詞 井上陽水
作曲 井上陽水
編曲 萩田光雄

中森明菜の最高傑作

う~む、素晴らしい。歌詞・曲・アレンジ・歌唱、そしてタイトル。どれを取っても文句のつけようがない作品だ。
まずは歌詞。明菜ならではの強さと脆さが交錯した不安定な世界を、陽水が個性的に表現している。
誰が聴いても陽水の歌詞だ、って判るほどに個性の強い歌詞。
それでいて明菜のキャラにもピッタリなんだから、相当なレベルだ。
また、主人公が過去の自分を冷徹に振り返り、その時々の心象風景や自己判断を淡々と独白する、というモノローグ手法を取っているのも、アイドル歌謡としては極めて画期的である。
しかしなんといっても、歌い出しの♪私は泣いたことがない~ のインパクトが強烈。
“つかみ”で一気に作品世界へ引きこむ作詞術はホントにスゴイ!の一言。

そして曲。陽水らしい曲だけど、この手のブギウギ・シャッフル系リズムはアイドル歌謡では珍しい。
特にマイナー調だと、他にはザ・グッバイ「モダンボーイ狂想曲」くらい?
最初にリズムだけ決めて、しかも歌いながらじゃないと、絶対出てこなさそうな曲。
よく思いつくなぁ、こんなの。そもそも、なんで明菜相手でこのリズムにしようとしたのか。そこからして既に謎だ。

で、アレンジだが、ブギウギ・シャッフルでありながら、シンセドラムを軸にした打ちこみサウンド仕立てにしてるのがユニーク。しかも、歌詞に合わせて、要所要所でロック調にしてるし。
結果、非常に珍しい「ブギウギ・デジタルロック歌謡(?)」に仕上がった。
斬新な”ブギ歌謡”という意味では、笠置シズ子「買物ブギ」以来のインパクトか?知らないけど。

萩田光雄もなかなかの仕事ぶりだ。さらに、明菜の歌唱にも注目。
彼女のパワー溢れる歌唱が、作品世界をより明快にしているのはもちろんだが、それ以上に機械でミキシングしたようなあのヴォーカルが、妙に作品自体にマッチしている。 コレも特筆すべき点でしょうね。

とにかく、どういういきさつでこの作品が企画されたのか知らないけど、井上陽水の予想以上の天才ぶりに、周囲のスタッフもみんな触発されて、様々なアイデアが炸裂し、結果ものすごい傑作が誕生したような感じ。(1999.11.19)

 HAGGYの台所

情報提供・コメント

タイトルとURLをコピーしました