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河合奈保子『大きな森の小さなお家』

河合奈保子
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発売日 1980.06.01
作詞 三浦徳子
作曲 馬飼野康二
編曲 馬飼野康二

メルヘンを装いつつ、女性性を暗喩する怪作

河合奈保子のデビュー曲。
彼女の明朗なキャラクターを生かすべく、メジャー調でミディアムテンポのサウンドに仕立てている。
曲は榊原郁恵や石野真子あたりを彷彿とさせる、典型的な70年代アイドルポップスだ。
アレンジも適宜、女性コーラスやキーボード、シンセハープ等を取り混ぜて、ポップでメルヘンチックな作りにしていて、彼女の可愛らしさを強調。
ただ、イントロのギターとかは結構ダサくって、お世辞にも洗練されているとは言い難いけど。

しかしなんといっても、この歌は三浦徳子のキワドイ歌詞が最大特徴だろう。
歌い出しから♪誰も見たことないない ないない~ だし、それに続いて♪誰も触ってないない ないない~ とは。
それ以外にも、♪震える胸の奥の奥なの 秘密のお家へと続く道~
などなど、一見メルヘンを装ってはいるが、深読みすれば女性性を暗示させるという、そのあざとさは相当なものだ。
サウンドに関しては郁恵・真子調だが、歌詞のコンセプトは大場久美子っぽいかも。

ただ、大場の場合は「歌が」というよりも、「存在の仕方が」なんだけど。
『コメットさん』などの童顔で天衣無縫な無邪気ぶりとは裏腹に、どこか肉感的でセクシーだった大場。
「河合奈保子は歌が上手い大場久美子」と言ってた人が居たけど、デビュー時に限れば、好い得て妙である。

まぁそれはともかく、もっと具体性を持って歌詞を勘繰れば、麻丘めぐみ路線に近い。
「女の子なんだもん」「ときめき」などに代表される、可愛らしいけど異性を挑発するかのようなロリータぶり。
それをより隠微に、よりキワドイ形態を取ったのが、この「大きな~」ではなかろうか?
そういう意味ではむしろ「芽ばえ」的か(これも結構キテるが)。
ジャケ写もどこか麻丘の「女の子なんだもん」っぽいような。
口紅を強調したメイク、ラフな服装、自然な表情・髪型・・・・
奈保子の中では、最も年相応の色気を、自然な開放感を持ってさりげなく強調したジャケ写である事にも注目。

しかし、これほどの怪作であるにもかかわらず、世間ではそれほどキワモノ扱いされなかったのは、彼女の「真面目さ」「素直さ」といった善人キャラが余りにも鉄壁だったが故か?
そうしたキャラに目くらましされて、ヤバさが上手く隠蔽できたのか。
世間もまだ深読み能力に長けて無かったし。世に出るのが5年遅れていたら、状況は全く違っただろう。(1999.12.17)

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