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河合奈保子『スマイル・フォー・ミー』

河合奈保子『スマイル・フォー・ミー』
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発売日 1981.06.10
作詞 竜真知子
作曲 馬飼野康二
編曲 大村雅朗

河合奈保子の個性が全面開花した、初期の代表作

前作「17才」での、スピーディーなサウンドに乗せたグルーブ歌唱(?)に気をよくしたのか、今回はメジャー調で同傾向の作品にトライ。作曲はデビュー曲「大きな森の小さなお家」と同じ、馬飼野康二が担当。
やはり曲自体は「大きな~」と良く似ているメジャー調だ。

ただ、今回はサビ前のメロディにマイナー調を少々加味しているのが特徴か。
その哀愁味が明朗な作品に「切なさ」のようなものを(ほんの少々)与え、全体を締める効果を果たしている。

アレンジは初めて大村雅朗が起用された。
ライバル・松田聖子のお抱え作家であるのが気になるが、「疾走感溢れるスピーディーなサウンド」と言えば、確かに彼はその道の第一人者だから、ベストな起用ではある。

聖子の「チェリー・ブラッサム」や「夏の扉」などでお馴染みの、ギター主体のエアプレイ系な音作りで、今回も手堅くこなした。間奏のギターソロとか、随所に見られるストリングスの盛り上げなどなど、いかにも大村的。

ただ、ストリングスとブラス系の混成でオーケストレーションを施し、躍動感を引き出しているあたりは、聖子作品には見られないやり口ではある。コーラスも必要最低限ながら、タイトル連呼で見事な効果を上げている。
これまでの作品中、最も洗練された洋楽的アレンジだ。

歌詞は相変わらずの「あなたしか見えない」といった”ひたむき路線”だ。
しかし、今回は「17才」とは違って、相手への愛にためらい・迷いなぞ一切無い、直球勝負でストレートな愛情表現。

「愛してます」もかなりストレートだったが、マイナー調のアナクロサウンドに乗せて綴る、そのひたむきな様は、どこか怖い感じもしたけど(というか、若者らしくない)、この「スマイル~」はメジャー調のアップテンポに主題を乗せているおかげで、厭味や違和感が全く無い。至って爽やか、清潔そのものである。

こうして、歌詞・曲・アレンジの三位一体な統一感で、見事な傑作に仕上がった。
こうした爽やかな作品に仕立てた結果、奈保子の個性と見事にマッチして、初のトップ10入りをマーク。
「スマイル・フォー・ミー」というタイトルも彼女にフィットしたし、独創的な振り付けもTVを通してお茶の間に彼女の個性をアピールするのに役立った。奈保子のキャラクターが完全に定着した、代表作のひとつである。
子以外は横並び状態だった、80年組女性アイドル群の中から、彼女もようやく頭角を現した。(1999.12.17)

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