原田知世『太陽になりたい』

原田知世『太陽になりたい』
発売日 1988.04.27
作詞 谷穂ちろる
作曲 後藤次利
編曲 後藤次利

タイアップにこだわり過ぎて、着地点を見失った怪作

車のCMソングである。それにしても、この作品は訳がわからない。
歌詞・サウンド、どちらが先に制作されたのかは知らないが、それぞれの出来が悪いとか、不協和音を奏でているとか云々以前に、一体何をどうしたいのかが見えて来ないのである。

とりあえず、曲は「サビ→A→B→サビ」という構成で、彼女には珍しい頭サビ。
サビはマイナー調だが、それ以外はメジャーで展開される。
サビメロはまぁまぁだけど、それ以外は凡庸で、全体としては、可も無く不可も無くといった按配でしょうか。

アレンジは一応ロックを基調としながらも、「空に抱かれながら」同様、ファンキーさを加味した仕上がり。
ラテン風のピアノの旋律が耳を引くが、リズムはとりわけラテンというわけでも無い。
リズムセクション自体はとにかくスピーディーで、やたらめったら疾走感を醸し出そうとしているのは伝わる。
これは車のCMソングであることを強調しているのだとは思う。
しかし、結果としては、ラテンでファンキー調にしたいのか、ロックでスピーディーに処理したいのか、それぞれが融合される事なく、どっちつかずで散漫な印象。エンディングの締め方も無理矢理だし。

しかし、一番理解できないのは歌詞だ。とにかく難解で複雑な内容。
まず、主題が全然判らないのだ。というか、主題は無いな、これは。
歌詞も車のコマソンであることを、目いっぱい強調しているのだが、
 ♪時空(とき)のハイウェイ走りつづけて~ ♪きっとカーブを曲がれば判る事があるはず~
 ♪風のバックミラーに恋が遠くなる~
どうにも取って付けたかのようで、話の前後とは無関係な嵌め方。
ラテンっぽいサウンドにも、とりあえず追従してみたのか、パームツリー・籐の寝椅子といった、南国風のキーワードも出てくるが、これも唐突。

さらに、タイトルの「太陽になりたい」がフレーズとして出てくるが、どうして「太陽になりたい」のか、その動機も不透明。
 ♪太陽になりたい 今いつものしなやかさ~ ♪太陽になりたい 今自由を抱きしめる~
う~む・・・太陽というスケールの大きさで、ドライブの開放感みたいなものを表現したいのだろうか?
 ♪太陽の瞳で 今 恋も言葉も仕事も みんな知らん顔だね~  なんだそりゃ? 訳判らんよ。

この作品、サウンド・歌詞の両方で、車のCMソングという命題にこだわりすぎた感がある。
それでいて、夏リリースという季節柄をも考慮して、無理矢理”夏っぽさ”をもハメたもんだから、完成品としてはどうにも座りの悪い、ややこしい代物に仕上がった。あれこれ欲張りすぎて、完全に着地点を見失っている。
とんでもない怪作である。(2000.2.25)

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