70-80年代アイドル・芸能・サブカル考察サイト

原田知世『空に抱かれながら』

原田知世『空に抱かれながら』
コメント
発売日 1986.09.21
作詞 秋元康
作曲 後藤次利
編曲 後藤次利

アレンジが曲・歌詞とはマッチしてない失敗作

前作「雨のプラネタリウム」でのアーティスト志向が、まぁまぁ好感触だった事を受けてか、今回もスタッフは全く同じ。まぁ今回も引き続き、車のCMソングだったこともあるけど。
しかし、安全パイを狙ったはずの人選なのに、今回は采配が裏目に出て大失敗となった。

歌詞は前作と同様に、失恋を大人っぽく描写している。
 ♪受話器から聞える5回目の呼び出しコール~ ♪答えずにいる事があなたの優しさなのね~
 ♪少しづつすれ違ったタイミング~ ♪接吻の意味さえ 日常の句読点になっていた~
大人のムードは前作以上であるが、サビの内容がちょっと難解。
 ♪空に抱かれながら 愛の痛みを受け止めるみたいに~ 
 ♪空に抱かれながら 街を歩けば 肩が少し寒い~
なんとなく言いたい事は判るのだが、今一つしっくり来ない。

曲は前作同様、マイナー調でアップテンポ。
サビ前まではそこそこ良いメロディだが、肝心のサビメロが今一つ。
歌い上げて盛りたてる作りなのだが、キャッチーさに欠けるのだ。
♪ハートに・・・黄昏~ の締め方が、物凄くゴッキー的なのは面白いが。
でも、全体的に覚えにくいし、あまり良い曲とは言えないだろう。

アレンジは前作同様、ロックテイストだが、今回は何故かファンキー調が加味されている。
哀愁漂う曲であるにもかかわらず、ノリの良い仕上がりになっているのだ。
この曲でこの歌詞だったら、もっとシットリとしたアレンジにするのが普通の感覚だと思うが。
ハッキリ言えば、今回は後藤自身がほとんど趣味に走ったかのようなアレンジなのだ。
実際、イントロから凄まじいチョッパー・ベースの嵐で、「これでもか!」と言わんばかりの”後藤性”。

間奏もゴッキーお馴染みのグチャグチャしたアレンジだし(アレンジャー後藤次利の最大の欠点は、間奏をいい加減に処理する事だと思う)。なんでブラスを導入してまで、わざわざ盛り上げようとするか?
盛り上げてどうするよ。とにかく全編に渡って、曲・歌詞とは無関係なアレンジにひたすら終始。

この作品、曲と歌詞はイメージがそこそこ一致するものの、アレンジが曲・歌詞に全然マッチしていない大失敗作である。
おそらくは楽曲先で制作されたと思うが、このサウンドに失恋の主題を乗せるのは、いくら秋元康と言えども難しかったと思う。歌詞が今一つしっくり来ないのも、まぁしょうがないかも。アーティスト性を追求するべく、ロック色を強化したのだろうが、アンバランスなことこの上無い。

一生懸命ハードなサウンドをビジュアルで表現しようと、知世も歌番組では激しい振り付けを披露したが、完全に空回り。ハートに・・・黄昏。(2000.2.25)

 HAGGYの台所

原田知世ディスコグラフィ原田知世ディスコグラフィ



情報提供・コメント

タイトルとURLをコピーしました