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原田知世『時をかける少女』

原田知世『時をかける少女』

原田知世の最高傑作

知世の同名初主演映画の主題歌である。
前作では来生姉弟が、ユーミンに成り代わって”ユーミン世界”を再現したが、今回はようやく(?)本家本元が登場。 やはり映画はTVよりも強し、ということか。今では勢力が逆転しているような気もするが。

曲はメジャー調で、「A→A”→B→C」という構成。
♪消えたりしないでねぇ~ ♪私は私は~ などで、突然音域がUPする点や、サビでマイナーに転調するも、すぐにメジャーに戻ってそのまま締めくくるセンスなど、すごくユーミンっぽい。

しかし、ちゃんと知世向けに作られたメロディでもあるのだ。
知世は結構音程はイイが、ヴォーカルに声量・表現力、ともに欠けるキライがあり、あまり歌い上げるようなメロディは不向きだと思う。

その点、この曲は、高音域でサビが盛りあがるものの、「歌い上げる」というよりは「突き抜ける」ような作りなので、知世のか細い個性にはマッチしている。
アレンジは、ユーミンらしいシンプルなニューミュージックテイストを基盤としながらも、「ド#・シ・シ・シ・ラ・ラ・シ・ラ・シ」のキャッチーな旋律を、キーボードやギターで延々と奏でているのが、なんといっても耳を引く。

所々リズムを変化させているうえに、Aメロでは多少フォーキーな、もしくはボサノバっぽい雰囲気もあったりするし、A”メロではサビに向かって、コーラス・ストリングス等で次第に盛り上がって行く作りで、シンプルながらもかなり凝ったアレンジだ。間奏・エンディングのフュージョンっぽいサックスは、当時の松任谷正隆の常套パターン。

歌詞はタイトル通り、恋愛感情をSFチックに描写している。
デビュー以来、3作連続SFチックで「またしても」という感じだが、”SF三部作”のなかでも、この「時かけ」が最もSF色が強い。
おそらく、発注の時点で、タイトルを歌詞に組みこむ事が条件として提示されたのだと思うが、このモロにSFなタイトルを主人公に仕立て、
 ♪過去も未来も星座も越えるから 抱きとめて~ ♪褪せた写真のあなたのかたわらに飛んで行く~
という具合に、「時空・空間をも超越する愛情の一途さ」として昇華することで、条件をクリアしているのは見事。
しかも、前2作品のように、「不思議」「謎」「ミステリー」「呪文」といったSFなキーワードを一切使用せずに。
さすがは本家。来生えつことの技量の差は一目瞭然。

この作品、サウンド・歌詞、いずれの面でも完成度が高く、全く欠点が見当たらない。
知世の力弱い歌唱は好みが割れるだろうが、とりあえず作品世界を表現するには、過不足無い歌唱ではあるし、最高傑作と云って構わないだろう。
唯一の不満は、作者のユーミンがセルフカバーしたことくらいか(僕は勘弁して欲しかった)。(2000.2.25)

 

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