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中山美穂『ツイてるね ノッてるね』

中山美穂『ツイてるね ノッてるね』
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発売日 1986.08.21
作詞 松本隆
作曲 筒美京平
編曲 大村雅朗・船山基紀

中山美穂・筒美京平、それぞれに新境地を開拓

「色・ホワイトブレンド」同様、コレも化粧品のCMソングだ。
それにしても、86年資生堂キャンペーンで、春・秋の両キャンペーンを制覇するとはスゴイ。
この活躍振りこそ、まさしく「ツイてるね ノッてるね」だろう。
それはともかく、この作品、化粧品コマソンらしい”いかにも”なあざとい企画性が希薄だ。
言われなければ、化粧品のCMソングだとは気づかないだろう。
見方を変えれば、このあたりから”いかにも”な化粧品コマソンは流行らなくなってきた、と言えるかも。

で、その歌詞だが、主題は「イイ女の自意識過剰なナルシスぶり」。
化粧品コマソン的な色合いは薄いものの、この無意味な主題はCMソング向きではある。
のっけから ♪Lucky Girl~ という無意味さ。 インパクト重視で、この際、内容はどうでもいいのだろう。
とりあえず、作品世界は阿木耀子的だ。 ♪鏡に見知らぬ私・・・女だわ~ 等、そのまんまである。
こうした自意識過剰で屈折したフェミニズムは、化粧品そのものの意味と共通しているかも。
この女性像を構築するのが、女流作家ではなくて、オッサンの松本隆であるという事実も、よくよく考えたらスゴイ!
・・・・というか、怖いよ。

曲・アレンジ、共にサウンド面は「C」の系譜だ。
「C」をベースに、より派手に、よりファンキーに、よりダンサブルに発展させたのがこの作品だろう。
曲作りは「C」以上に凝っていて、♪見知らぬ私・・・女だわ~ の”タメ”や、サビでヴォーカルがオーバーラップするあたりなど、いろいろ工夫している。
しかし、リズム隊を乗せる前の段階で、かなりノリ易い曲作りをしているおかげで、「C」よりは歌い易いメロディだ。

アレンジも一流どころの共作なだけあって、かなりの出来映え。
シンセ類の多用、打ちこみ系のリズムセクションは、「C」を継承しているが、加えてSEの使用、デッド・オア・アライブ的な男性コーラス、活きのいいギター、多種多様なパーカッションなどなど、「C」以上に趣向を凝らしている。
とにかく派手なサウンドで、音作りに関しては、美穂の作品中トップクラスだろう。

この作品で完成された”打ちこみ系のファンキーサウンド(?)”は、筒美自身よほど気に入ったのか、美穂の「派手!!!」でも流用し、さらに、ユーロビートを軸とした形で再構築し、少年隊・田原俊彦、そして美穂の「WAKU WAKU させて」へ繋げていく。

筒美にとって最重要作品であると同時に、美穂(というかスタッフ)もこのファンキー路線がお気に召したのか、今後、筒美以外の作家とも組んで、「CATCH ME」「Rosa」など、あれこれ趣向を変えて、この手の作品を多作することになる。
この成功が二人にとって、それぞれに新境地を開拓した結果となったのは興味深い。(1999.12.28)

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