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中山美穂『CATCH ME』

中山美穂『CATCH ME』
発売日 1987.10.07
作詞 角松敏生
作曲 角松敏生
編曲 角松敏生

筒美派閥とは一味違う、斬新な「ファンキー・ユーロビート歌謡」

今回、作詞・作曲・アレンジ、全てを角松敏生が一人で担当。
職業作家を完全に排除した楽曲制作というのは、おそらく美穂の「脱・アイドル計画」の顕れだろう。しかし何故、角松敏生なのか? TKにも任せなかった”楽曲制作一任”という大仕事を、何故角松に?
過去にシングルB面、およびアルバムで、彼は作品提供しているから、その実績を買われたのか?

まぁそれはともかく、そもそも、角松自体が僕にとっては謎だらけだ。
僕が彼の歌をほとんど聞いた事が無い、ってのもあるけど、それ以上に存在が独特。
自身のヒット曲なぞ皆無にもかかわらず、90年代に入ってからも、『VOCALAND』と称したプロジェクトで、多数のガールポップ群をプロデュースしたりして(ただし、全部不発)。

さらに、唐突な『ユニマット』のCM出演や、長野オリンピックの「WAになって踊ろう」とか、時代の要所要所で顔を出すという、その実績を鑑みると過剰とも思える「VIP待遇」「チヤホヤぶり」が、事情の判らない僕にとっては、どうにも理不尽なのだ。 何ら前説無しで、事後承諾のような形で、いきなり”大物然”とした立ち居振る舞いを見せられても・・・・
「それほどのモンなのか?」って感じ。

まぁここで角松の事ばかり考えてもしょうがないので、まずは曲。
マイナー調でアップテンポだけど、起伏は乏しい。 サビもそんなにキャッチーではないし。
しかし、この起伏に乏しい旋律に歌詞が乗っかると、とたんにリズム感が出てくるのが不思議。
角松といい、玉置浩二といい、歌い手が曲作りをすると、時折こういう作品が産まれるのは興味深い。歌謡曲らしくない出来で、職業作家には難しいだろう、こういうのは。

アレンジは打ちこみ系のディスコサウンド。
ファンキーさが「ツイてるね ノッてるね」と共通するが、基盤はユーロビート調で、むしろ「WAKU WAKU させて」に近い。
もっと具体的に言えば、筒美調というよりも、デッド・オア・アライブ的な打ちこみサウンドに、ブラコンっぽいファンク味を加えた感じか。
全編リズムを強調した作りで、結構凝ったリズムセクションだが、同じセクションのまま、最後まで突っ走る。
そういう意味では仕掛けに乏しく単調なのだが、フェイド・アウトで終わるのは彼女には珍しいかも。

しかし、ファンク味溢れるコーラスが非常に充実していて、コレにサックスソロ・シンセ類などが加わり、ファンキーなフィーリングは十二分に醸し出されていて、退屈することは無い。
曲と合わせて、サウンド面はなかなか格好イイ仕上がりだ。

歌詞は難解。主旨が今一つよく判らない。
そんなに難しい言葉を使っているわけではないのだが、どうも主人公は、「惰性で生きてきた日常に、ピリオドを付けたい」・・・らしい。 で、そうした心境を、「夜の街で踊りつづけることで表現している」・・・らしい。
だから、「あなたにもこの気持が判るでしょ?」と啓蒙したい・・・らしい。
う~む、精一杯深読みしても、この程度しか解析できない。
まぁコレもサウンド主体で楽曲制作されたのだろうから、「細かい内容なぞお構い無し!」なんだろう。
とりあえず雰囲気重視で、大人のイイ女っぷりさえ出ていればOK!ってトコか。

結果、これまでのアイドル歌謡とは一味違った、斬新な「ファンキー・ユーロビート歌謡(?)」に仕上がった。
主題の不透明さが気になるが、「WAKU~」と比べれば、幾分マシかも。
歌謡曲的な俗っぽさが希薄な上に、適度な大人っぽさもあるし。
前作「50/50」でのアイドルっぽさと、次作「You”re My Only Shinin” Star」のアダルトさを、上手くブリッジする作品となった。(1999.12.28)

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