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中山美穂『色・ホワイトブレンド』

中山美穂『色・ホワイトブレンド』
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発売日 1986.02.05
作詞 竹内まりや
作曲 竹内まりや
編曲 清水信之

中山美穂の最高傑作

美穂本人が出演した、化粧品のCMソング。
なぜか作家陣が総入れ替えとなり、竹内まりや・清水信之が起用された。
クライアントの意向か?知らないけど。ちなみに、このコンビは河合奈保子「けんかをやめて」と全く同じ。

まずは曲だが、春のキャンペーンにふさわしく、ソフトなメジャー系。
オールディーズ風で郷愁を誘う、まりやらしいメロディだ。
全体のテンポがモンキーズ「デイドリーム・ビリーバー」・カーペンターズ「遥かなる影」を想わせる、弾むようなリズムで、これも春っぽい。頭サビで始まる点も、コマソンらしいキャッチーさだ。
所々マイナー調を加味して、明朗ながら品の良い仕上がり。
「BE-BOP~」同様、比較的高音域で、美穂の可愛らしい声質も堪能できる。曲作りは満点の出来映え。

アレンジも「けんかを~」では失敗した清水だが、ココでは水準に達している。
チェンバロの導入、シンプルなコーラスワークは相変わらずだが、適宜シンセ類・ブラス系を取り入れ、柔らかながらも躍動的な音作りだ。
延々とサビを繰り返すエンディングが「けんかを~」と共通しているが、今回はリズムをブレイクさせたりして、趣向を凝らしている。満点とは言い難いが、「けんかを~」に比べれば厚みのあるサウンドだ。

かようにサウンド面は充実しているのだが、一番スゴイのは歌詞だ。
化粧品のコマソンは何かと制約が多いのだが、ココでは「ホワイトブレンド」のキャッチコピーに基づいて、「White spring」「White lips」「White night」などなど、ホワイトがらみのキーワードを多用することで、クライアントの要望を見事にクリア。

コスメのCMソングとして合格点なのはもちろんだが、アイドル歌謡の定型をしっかり押さえているのも見逃せない。
主題は「春の訪れが新しい恋を運んでくる予感、そして出会い」。アイドル歌謡としても水準的。
化粧品のコマソンは、往々にして、ゴロ・キャッチコピーの偏重で歌詞が無内容になりがちだが、その点この作品はキチンと主題がある上に、筋道が通っていて、意味も判り易い。

しかも、『毎度~』で築いたイメージを前作「BE-BOP-HIGHSCHOOL」で終焉させ、ネタが手詰まりになったところで、上手いタイミングでイメチェンを果たす役割をしている。
CM映像と共に、彼女のフェミニンな魅力を萌芽させ、トップアイドルの仲間入りを果たした、記念碑的作品となった。
それでいて、竹内まりやの個性も発揮されているのだから、ホントに恐れ入る。

美穂には他にも傑作がいくつかあって、どの作品をマスターピースに認定するのか、結構悩むのだが、

 (1) 化粧品コマソンとして合格点
 (2) しかも、アイドル歌謡として水準レベル
 (3) 美穂のイメチェン・格上げに対する貢献度
 (4) 歌詞・曲、共に作家の個性が充分に発揮

これだけプラスの要素が揃えば、やはりこの作品を最高傑作に推さないわけにはいかない。
総合点でトップに踊り出た感じだが。(1999.12.28)

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