作詞 来生えつこ
作曲 来生たかお
編曲 萩田光雄
デビュー1年目にしてバラードとはかなりの英断
この歌がリリースされた昭和57(1982)年頃から、アイドルも盛んにバラードを歌い出すようになった。
多少イメチェンを図ったり、「ちょっと大人な私」を演出するために。
しかも、こぞってニューミュージック系アーティストを作家陣に起用して。
例を挙げると「赤いスィートピー」「けんかをやめて」「春なのに」などなど。
見方を変えれば、本当の意味でニューミュージックとアイドル歌謡がクロスオーバーしたのが昭和57(1982)年、と言ってもイイかもしれない。そんな風潮の中、この歌はリリースされた。
それにしてもデビュー1年目でバラードってのは、当時かなりの冒険だったはずだ。
あくまでも実績あるアイドルが、「脱・アイドル」を標榜してバラード歌うことが一般的だったのに。
明菜の場合は、せっかくのブレイク直後にして路線変更、もしくは軌道修正かと見紛う、結構リスキーな選択だ。
でも、「少女A」の二番煎じを狙わずに、このような英断を下したスタッフは偉いといえば偉い!
結果、この一曲で彼女はカリスマになり得たし。
まぁこれほどの名曲を目の当たりにしたら、誰でもシングルに選ぶよなぁ、とは思う。
しかし、「スローモーション」ほどではないが、この歌も歌詞と曲がちょっとイメージ異なる。
だって、この歌をボーッと聴いてると失恋をテーマにした歌かと錯覚しません?(誰に問うのだ、私は)
曲調もアレンジもソレっぽいし、明菜の苦しげ、且つ切なげな歌唱も失恋風だし。
でも、よーく歌詞を聞いてると、べつに失恋でも何でもないのだ。
ただ「二度目の恋で、相手に自分の想いが伝えられずにモジモジしてる」ってだけの話。
まぁそのこと自体、切ないって言えば切ないんだけど。
でも、この手の主題で、ここまで切ないバラード作品というのも、結構珍しいのでは?
こういったテーマだと、むしろブリッコっぽくなってしまいがちなんだけど。
あ、それを避けるために敢えてバラード調にしたのか?だとすれば正解だわ、明菜のキャラからすれば。(1999.11.19)

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