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小泉今日子『ヤマトナデシコ七変化』

小泉今日子『ヤマトナデシコ七変化』
発売日 1984.11.07
作詞 康珍化
作曲 筒美京平
編曲 若草恵

60年代歌謡を80年代アイドルで再現した意欲作

なんといっても、この奇妙奇天烈なタイトルが目を引くわけだが、作品自体、かなりの力作である。
「艶姿~」同様、この歌もタイトルが先に決定してからの楽曲制作だったのだろうが、康の歌詞・筒美の曲・若草のアレンジ、いずれも全然タイトル負けしていない見事な頑張り様だ。
逆にこの過剰な頑張りぶりが、リスナーを疲れさせる向きも、まぁ無きにしもあらずなのだが。

それはさておき、まずは曲。初期のアナクロ路線もビックリな、今度は60年代歌謡の趣き。演歌調ですらある。
奥村チヨや坂本冬美あたりが歌っても、全然違和感の無いメロディだ。
まぁこの”くの一”な忍者風タイトルだったら、こういう曲を提示するのは当然の成り行きか。

次に歌詞だが、歌い出しでいきなり ♪純情・愛情・過剰に異常~ とは。
このインパクト剥き出しなあざとさは、それこそシブがき隊状態。
その他にも ♪どっちもこっちも輝け乙女~ だの、その「ブッ飛び」ぶりはこの作品でピークに達した(「なんてったってアイドル」はまた別モノ)。 それでいて ♪アハン~ とか、お約束のようにお色気も押し出して。
康の頑張りぶりも相当なものだ。

となると、気になるのはアレンジだ。
ここでは演歌調の曲と、ぶっ飛んだアイドル歌詞をリンクしなくてはならないのだから。
結構難しい課題なのだが、そこは才人・若草恵。
彼女は演歌・アイドル、対極にある両ジャンルで場数を踏んでいるので、両者を結び付けることなぞ朝飯前だ。(知らないけど)

サンタ・エスメラルダというか、ボニーMというか、とにかく70年代の中近東ディスコサウンドを駆使することで見事にリンク。SEを多用したハデハデな効果音も、歌詞の突飛な世界観とフィットしてるし。
エスニック・テイストを加味したことで、結果、ドメスティックなメロディなのに、不思議な無国籍歌謡に仕上がった。
この奇妙さが、タイトルの奇天烈さとも絶妙にマッチしている。

そういえば昔、筒美は60年代歌謡的なメロディを、ニューミュージックテイストで装い新たに、中原理恵・庄野真代あたりに歌わせて再現したことがあったけど、ここでもそのノウハウは活かされたのか。
中原の「東京ららばい」の時も、サンタ・エスメラルダとか取り入れてたわけだし。
となると、アレンジを含めたサウンド面での主導権は、今回全て筒美の手中だったということか。

だとすれば、筒美はこの作品で、今度は60年代歌謡を、ディスコサウンドで装い新たに、80年代アイドル歌謡として再現させたい・・・もしかしたら、そんな秘めたる野望があったのかも知れない。(1999.12.6)

追記
アレンジャーの若草恵を「彼女」呼ばわりしましたが、氏は男性なんだそうです(^^;
年代的には萩田光雄と同じくらいで、メガネをお掛けになっててニコニコした笑顔が素敵な紳士だそうです。

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