音楽ソフトというものは変遷を繰り返しているが、昭和の時代はレコードが主流であった。後半期はレコードといえばEP(Extended Play、シングルのドーナツ盤、45回転)、LP(Long Play、アルバム、33回転)を指したが、前半期にはそれらより大きいSP(Standard Play、78回転)を指した。
ここでは戦前のSP盤のレーベル分類紹介を掲載する。「赤盤」「スダレ盤」「キンポリ」など特異な用語が何を指すのか、概要を記した。
なお、流行歌に限った分類なので、落語や浪曲、クラシックなどは扱っていない。
戦前5大レーベル
ビクター(昭和3年~19年)
- 黒盤
- 昭和3年から15年まで主流(昭和3年~15年)
- 赤盤
- いわゆる芸術的歌曲など(昭和3年~15年)
- A盤
- 当初は愛国行進曲だったが、昭和15年から主流(昭和12年~19年)
- X盤
- 傷兵保護院選定曲など(昭和13年~14年)
- Z盤
- 一部の流行歌を分類(昭和15年)
- A8000番盤
- 再発ものなど(昭和16年)
- A4800番盤
- 唱歌や教育歌など(昭和17年)
コロムビア(昭和3年~20年)
- 黒盤
- 昭和3年から15年まで主流(昭和3年~17年)
- 青盤
- いわゆる芸術的歌曲など(昭和3年~18年)
- 白盤
- 国歌、政府選定などの国策歌(昭和5年~14年)
- 茶盤
- 長崎市歌など(昭和9年)
- 教育盤
- 椰子の実など(昭和13年~14年)
- 産業向盤
- 国民歌謡など(昭和15年~20年)
- 赤盤
- 異称「スダレ」(レーベル部分にスダレの様な縦線模様)、昭和15年から主流(昭和15年~20年)
ポリドール(昭和5年~18年)
- 黒盤
- 昭和5年から15年まで主流、13年より写真盤(昭和5年~15年)
- S盤
- 松竹映画主題歌(昭和6年~9年)
- 緑盤
- 「大衆盤」、廉価であった(昭和7年~9年)
- 赤盤
- 唱歌、歌曲など(昭和8年)
- 茶盤
- 実況放送、国防婦人会などの歌(昭和11年~12年)
- 6000番盤
- 愛国行進曲(昭和13年)
- 8000番盤
- 唱歌など(昭和13年)
- 特別盤
- 再発の東海林太郎傑作選(昭和13年)
- 9000番盤
- 国民歌謡(昭和14年)
- P盤
- 昭和15年から主流、15年は写真盤(昭和15年~18年)
テイチク(昭和7年~20年)
- 黒盤
- 昭和7年~9年、11年~13年に主流(昭和7年~16年)
- 青盤
- 一部の流行歌を分類(昭和7年~8年)
- 緑盤
- 一部の流行歌を分類(昭和9年~10年)
- 宣伝盤
- 昭和9年
- 普及大衆盤
- 廉価盤のこと(昭和9年~13年)
- 赤盤
- 昭和10年、11年に主流(昭和10年~11年)
- N盤
- 一部の流行歌を分類(昭和12年~14年)
- A盤
- 昭和14、15年に主流(昭和14年~15年)
- T盤
- 昭和15~18年に主流(昭和15年~18年)
- X盤
- 国民歌謡、唱歌など(昭和15年~20年)
キング(昭和6年~20年)
- 紫盤
- 異称「キンポリ」(昭和6年1月の最初期は独自のレコード設備を持たず、日本ポリドールに製造、販売を委託。ポリドールの商標が記されている、キングポリドール[キンポリ]盤)、昭和6年~11年に主流(昭和6年~11年)
- 群青盤
- 昭和11年~18年に主流(昭和11年~18年)
- 特別盤
- 出征兵士を送る歌(昭和14年~15年)
- と盤
- 昭和18年~20年に主流(昭和18年~20年)
- に盤
- 少国民海の歌など(昭和18年)
- N盤
- 防諜関係の歌(昭和18年)
戦前マイナーレーベル
ニットー(昭和3年~12年)
※タイヘイに吸収、ツバメ印のマーク- 黒盤
- 昭和10年のタイヘイ合併時までの主流(昭和3年~10年)
- 赤盤
- いわゆる芸術的歌曲など(昭和10年)
- 紫盤
- 一部の流行歌を分類(昭和10年~11年)
- 青盤
- 一部の流行歌を分類(昭和11年)
- 大衆S盤
- タイヘイ合併後の主流(昭和11年~12年)
- WS盤
- 一部の流行歌を分類(昭和11年)
タイヘイ(昭和6年~16年)
- 黒盤
- 昭和8年から異称「貝星」、9年まで主流、13年から異称「燕」で主流(昭和6年~14年)
- 紫盤
- 一部の流行歌を分類(昭和6年)
- 赤盤
- 異称「貝星」は11年まで主流、異称「WS」は11、12年の主流(昭和10年~13年)
- 謝恩宣伝盤
- 昭和10年
- E盤
- 愛国行進曲(昭和13年)
- R盤
- 昭和14、15年の主流(昭和14年~15年)
- G盤
- 昭和15年の主流(昭和15年)
- 30000番盤
- 昭和16年の主流(昭和16年)
その他レーベル
- オリエントレコード
- コロムビアの傘下レーベル、合併してリーガル(昭和3年~7年)
- オリエントレコード
- コロムビアの傘下レーベル、合併してリーガル(昭和3年~7年)
- ヒコーキレコード
- コロムビアの傘下レーベル、合併してリーガル(昭和4年~7年)
- リーガルレコード
- コロムビアの傘下レーベル(昭和7年~15年)
- コロナレコード
- ポリドールの傘下レーベル(昭和12年)
- オデオンレコード
- 昭和5年~6年
- パルロフォンレコード
- 昭和6年~8年
- クリスタルレコード
- 昭和10年
- ミリオンレコード
- 昭和12年
- スターレコード
- 昭和12年~13年
戦前ローカルレーベル
アサヒ蓄音器商会(名古屋)
- ツルレコード
- 赤盤(昭和2年~6年)、紺盤(昭和5年~9年)、紅盤(昭和9年~10年)
- ルモンドレコード
- 昭和10年、再発もの
- サロンレコード
- 昭和10年、再発もの
- サンデーレコード
- 昭和10年、再発もの
- アサヒレコード
- 昭和12~14年
昭和レコード製作所→昭蓄レコード(京都)
- ショーワレコード
- 昭和4年~8年
- ショーチクレコード
- 昭和8年~15年
- ホオコクレコード
- センターレコード
- 昭和10年
福永レコードプロダクション(京都)
- エトワールレコード
- 昭和9年~11年
- テレフンケンレコード
- グラマホンレコード
太陽蓄音器→東京レコード製作所(東京)
- 太陽レコード
- 昭和7年~9年
- ニュー太陽レコード
- 昭和9年
- 弥生レコード
- 昭和10年
国歌レコード製作所(大阪)
- コッカレコード
- 昭和3年~14年
- インチェスレコード
- ホームランレコード
- 再発もの、昭和7年~8年
ニッポンレコード合資会社(東京)
※オーゴンレコードに吸収- トンボレコード
- 昭和3年~10年
- ニッポンレコード
- 昭和7年、鳳凰マーク
日本蓄音器商会
※コロムビアに吸収- ニッポノホンレコード
- 昭和2年~4年、鷲マーク
- イーグルレコード
- 昭和5年~8年
ニッポン蓄音器
- ニッポンレコード
- 昭和13年
太平蓄音器(兵庫)
- キリンレコード
- タイヘイの再発多い
その他レーベル
- スタンダード蓄音器
- 奈良、昭和6年~10年、昭和9年にテイチクに吸収
- フクスケレコード
- 昭和8年~9年、テイチクの傘下レーベル
- エヂソンレコード
- 東京、昭和10年~12年
- ホクチクレコード
- 昭和7年
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