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出逢いのページ

出逢いのページ

夢の世界に拡がる時間の川は澄み切った記憶を湛え、しんと静まり返っている。常識が迫り、またある種の条件付けを施されると、たちまち時間の川は遠い過去の源流から現在という入り江に記憶を注ぎ込み、未来にその波紋を拡げて行く一連のプロセスを組み立て始める。
それは我々の中に流れる幻想の概念だ。

私の役目は観測者として、幻の川の縁からそれぞれの記憶を見つめ、彼らを探し求めることにある。近くに横たわる記憶に焦点を結ぶと、静寂はゆっくりとその想い出から退き、物語のページは唐突に開かれるのだから。
折りたたまれた想い出がページの中でひも解かれるが、私は私を失うことでその対価を手に入れようとしている。

私の足先にそっと触れる川辺の波。
いざなう記憶の波頭。
この何億のも分子に私の細胞は呼応する。
打ち捨てられた星のかけらが波間に見え隠れし、渦を巻きはじめた。
連続した切れ目のない波間には、灼熱と豪雨がめぐり、見知らぬ幾何学模様が群がり出す。
その任意の一点に視野を向けると、瞬く間に私を擦り抜け、実在を露わにする。
それと引き換えに私はもう、ここにはいない。

無数の波間にはあらかじめ同じ数だけの物語りが用意されている。私は、その中にある選択肢のひとつに手を伸ばすだけでいい。そして、不確定な波間に描写された幻が夢の世界に投影され、私は出逢いのページに舞い降りることが出来る。
そこには、私の細胞に包まれているはずの彼らが、単独で浮遊していた。

 


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