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まばゆい照り返し

まばゆい照り返し

あなたはもう少しで私になる。
あなたは私を取り巻くこの世界について語る術を知らない。だから、私が振り返りながら想い出を繋いでいこう。

時間の矢は後方に引かれ、私の想いは降り止まぬ雨が創り出した原始の海の中にただよい始めた。
そこには、冷却したマグマの海がいくつかのプレートに分断されていた。
時折、青白く光り輝く現象が、夢の世界の海底をぼんやりと浮かび上がらせ、また暗闇に返す。その度にいくつかの目覚めが結ばれていった。

降りしきる雨に費やされた時間は一体どれくらいなのだろうか。
はるか上空を覆い尽くしていた雲はいつの間にか低く立ちこめ、この夢の地上に接近していた。
まだ輝く星は見当たらない。
しかし、記憶に残るまばゆい照り返しがすぐ近くまで来ているはずだ。
暗闇の彩りが終息を迎えようとしている。
今まであなたのそして私の風景を厚く塞いでいた雲に切れ目が生まれたのだ。
そうして、いつか見たあの輝きが一斉にあふれ出し、光の束はこの夢の地を引き裂くように駆けめぐった。
そして、原始の海はきらきらとそのまばゆさを照り返していた。

あなたは暗闇が織りなす色彩に囲まれたまま、静かに横たわっていた。
光の波に揺れるあなた、雷の放電に打たれたあなた、外界からの衝撃波に照らされたあなた、原始の海に深く沈み込み熱水を浴びていたあなた。
いつも私はあなたを失い続けてきたが、今はまばゆい照り返しの中にはっきりあなたを感じている。
暗闇を通り抜けてまばゆさにたどり着いた、この新しい夢の世界。今、私はあなたと対峙している。
でも、あなたはそれに気づかない。形のない腕を伸ばしてみてもあなたは指先からこぼれ落ちるだけで、私の心に共通の言語を響かせることはない。
まだ、何かが足りないのだろうか。
共に生きることは少し先のようだ。
あなたは私のことばかりか、あなた自身の存在にも目覚めていないのだから。
存在という概念を未定義のままにして旅立ちは始まろうとしていた。

 

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