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自己と非自己

自己と非自己

存在という概念を未定義のままにして旅立ちは始まろうとしていた。
その定義付けは仮想空間を無限の拡がりへと押し進めた遠い過去からの引き継ぎ事項であり、今以て棚上げされている。
いつの日かどこかの世界で呼ばれることになる認識、感情、自我といった振る舞いは、捉える現象の視点角度の差に依って現れる各側面に過ぎず、それを同一視できない源泉は全てこの未定義に集約される。

夢の中で見知らぬあなたと出逢った。
あなたは、振り返ると酷く暑かったあの日々の想い出からやってきたのだろう。暗闇の夢の世界の彩りは、物質の衝突と灼熱の豪雨で満たされていた。
否応なしに外界から降り注ぐ物質は、あなたの安定をマグマの海へと変貌させ、目覚めは妨げられてしまったようだ。
しばらくはまたゆらぎの中に身を漂わせながら次の機会を待つしかない。
でも、そのあなたはもうあなたではなく、別のあなただ。

夢の世界に拡がる原始の海は、濃厚なスープが入ったフラスコのようだ。
次々と彼らを集合や配列に結晶化させ、半透性膜に包まれた彼らをその中で創り上げて、鎖を成長させてきた。海水に身を任せてただようばかりの彼らにとって、膜の発生は内外を区別する画期的な躍進である。

彼らは自己と非自己のヒントを与えられた。
まだ、ヒントを解く鍵も見つけられないだろうし、これまで共に過ごしてきた日々の想い出すら知らない彼らだが、その鍵と想い出はしっかりと折りたたまれ、膜の内部で静かに彼らを待ち続けてくれるだろう。もう一度あの日に戻り、物語の途中にある、旅立ちのページや出逢いのページに立ち寄ることもできるはずだ。

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