作詞 秋元康
作曲 井上大輔
編曲 矢島賢
3月から4月にかけてはお別れのシーズン。そんなお見送りソングの中からご紹介するのは、杉浦幸「4月列車」です。オリコン最高位7位、売上4.9万枚で彼女の2ndシングルになります。
作詞は秋元康で「青春のいじわる」「四月のせいかもしれない」「もう君の名前も呼べない」等と同じ“ボク物”です。そして銀のレールが光るホームを舞台に主人公の立場を入れ替えれば「青いスタスィオン」の出来上がり。女を見送る男より男を見送る女の方が日本の歌謡曲では絵になると思うのですが如何でしょう?彼氏に「夢を捨てないで」と言い切れる女性の潔さが、彼女が思い出として生き続ける「僕」にあれば良かったのですが、少々演歌チックです。
作曲は「月の夜星の朝」「白いバスケット・シューズ」等でお馴染み井上大輔。頭サビとAメロが似たような符割りの繰り返しで、一歩間違えると平坦な曲になってしまいますが、結構グルグルします。
大嫌いなチープな打ち込みのアレンジを施しているのは矢島賢です。それなりに華やかですが他のアレンジャーにしたらもっと売れたと思います。
ボーカルは囁きスタッカート系で、音域は狭そう声量はなさそう。でも、歌手一年目の彼女にはそれなりに味わいが有りました。3rdシングルでは突然ツッパリソング「六本木十時軍」(←この変さがアイドルぽくてグー)をリリース。「ヤヌスの鏡」ばり(?)の凄味を利かせた歌唱が堪能出来ます。「-045-」あたりからかなり一人よがりな唄い方で、“あたし可愛いでしょ”と言わんばかりのナルシスト状態です。
元々はホリプロ出身でデビュー曲「悲しいな」ではヘリコプターを使った大掛かりなイベントをした彼女ですが、セクシーグラビア路線ではじけるのかと思いきやそうでもないようです。最近見かけませんが何してるのでしょうか?
ところでは中森明菜以来、森高千里がブレイクするまで女性アイドルでは苦労しています。
武田久美子(1983)・倉沢淳美(1984)・橋本実加子(1985)・杉浦幸(1986)・畠田理恵(1987)・藤谷美紀(1988)等と逸材を揃え、デビュー曲でヒットを出しながらも後が続かない不思議な会社です。まあ毒にも薬にもならない平凡な曲を出したのが一番の原因でしょうが、となった今、竹内まりやプロデュースで話題の広末涼子の2曲目以降に注目したいと思います。(『幸STORY』杉浦幸)
heaven and earth

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