太田裕美『ドール』

太田裕美『ドール』
発売日 1978.07.01
作詞 松本隆
作曲 筒美京平
編曲 筒美京平

僕の神様、筒美京平氏が作家生活30周年ということであちこちで取り上げられているので、僕も筒美作品を取り上げたいと思います。今回は太田裕美の「ドール」です(オリコン最高位21位、売上万9.2枚)。

作詞は筒美作品に限らず彼女のシングルの大部分を手掛ける松本隆。舞台は横浜。つれない男に嘆かされている女性が人形相手にその気持ちを吐露しています。心無いあなたに泣かされてもしょうがないと、最終的には新たな旅立ちを決意する前向きな歌詞です。大昔に読んだ雑誌で松本隆が“太田裕美は僕が何をやっていたかなんて判っていない”と語っていましたが(編集者の悪意か、本音かは?)、こと「ドール」に関しては難しいレトリックはありません。

作・編曲は筒美京平。アレンジと両方手掛けている物に太田裕美では「九月の雨」、他に庄野真代「モンテカルロで乾杯」、ジュディ・オング「魅せられて」等があります。
メロディーは大きく捉えればA-B-C-Dの構成ですがいろんな動機が出て来る仕掛けの多い作りです。ただCメロ以降全体的に盛り上がる割りには、ここがサビ!というインパクトのある抜ける部分が無い感じがします。散漫になるのも京平節の特徴で、中山美穂「C」にも同じ事が言えるでしょう。

この頃は筒美京平本人が編曲するのは珍しくありませんでした。まず印象的なのはイントロのTOYピアノ。実際何の楽器を使っているのか解りませんが、タイトルや歌詞に合わせた憎い演出です。リフレイン前の間奏のハーモニカも同様の効果を出しています。
また港・横浜を意識したのか所々エキゾチックな雰囲気もあります。アコースティックギターやエレキギターの刻み、そしてそれに絡むストリングスと当時の歌謡曲のグルーヴを最大限盛り上げています。

ボーカルは舌っ足らず(余ってる?)で高い割りにはハスキー。作家のエゴかディレクターの好みか彼女の曲には必ず裏声を使うフレーズが出てきます。危なっかしい所もありますが安心出来る歌唱力です。そのせいか一連の作品の中でもニューミュージック的なニュアンスの物や、洒落た風合いを出す作品にはハマリますが、「ドール」のような下世話な歌謡曲となると少々パンチに欠けて物足りません。
元々自作自演指向が強かっただけに、そこがもう一人のヒロリンとの違いでしょうか?(『BEST COLLECTION』太田裕美)

 heaven and earth

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