1991年にLovin’ youという曲をヒットさせた、レゲエの女王ことJanet Kay(ジャネット・ケイ)をご存じだろうか。
当時、私はこの曲が収録されたアルバム「LOVIN’YOU」を購入している。彼女が歌う透明な歌声とレゲエでありながらどこか哀しげなリフレインに魅了されたのだ。
そんな印象深い彼女の歌声を20数年ぶりに聴くことになった。偶然に「まちぶせ」のキーワード検索でJanet Kayの「アイドルKAY」なるアルバムがヒットしたのだ。
あらためてアマゾンで調べると、2012年に発売された80-90年代の日本のヒット曲をレゲエにカバーした企画ものだった。
収録曲は以下の通り。
- 赤いスイートピー
- 夢の中へ
- 淋しい熱帯魚
- WAKU WAKUさせて
- 嵐の素顔
- 少女A
- スシ食いねェ!
- まちぶせ
- セーラー服と機関銃
- LOVEマシーン feat.高橋 愛
- 学園天国
- 年下の男の子
- LOVEマシーン (Soft Punk MIX)
同世代の私にはどれも馴染み深いヒット曲ばかり。だが、期待に胸を膨らませた私の耳に聞こえてきたのは、レゲエ風にアレンジはされているが英語詞に挟まれたサビのカタカナ日本語が際立った、なんとも形容しがたい妙な音だった。「夢ノ中ヘ」はぎりぎり許せるが、「ゆらゆらスイミン」「ワクワク、ドッキドッキ」「ジレェタイ私少女エィ」は閉口もので、ダメ押しの「スシ食イネェ」の連呼に至っては仰天するしかなかった。
同じカバー曲で最近知ったDebbie Gibson(デビー・ギブソン)の「MS.VOCALIST」が全曲素晴らしかっただけに、がっかり度合いも大きかった。
この「アイドルKAY」の存在理由を成立させるには、企画段階で練られたであろう商業主義を想像して苦笑いすることと、ネガティブ一色のアルバムでありながらも歌声が素敵なだけに、レゲエの女王に相応しい選曲とアレンジの仕様がほかにいくらでもあったという、失敗の本質を見抜けなかったビジネス上の教訓とすることくらいだろうか。
情報提供・コメント