放映日:1973.03.03
登場怪人:テレビバエ、イカファイア
脚本:伊上勝 監督:奥中惇夫
まず、前回の1号ライダー・2号ライダーの壮絶な戦いが、ナレーションにより説明されます。
そして、サブタイトル。前回、1号2号が太平洋に消えたと思ったら、後継者たるV3が早くも死刑台へ…というわけで、新たな敵デストロンの強さを妙に印象づけるオープニングです。
さて、本編。夜。第一総合病院。
手術患者が担ぎ込まれたらしく、真夜中にたたき起こされたらしい院長が不機嫌そうに手術室に向かいます。助手達が既に待っている手術室に入り、患者の様子を見ようと院長が手術台の上の白い布を取ると、そこには一台のテレビ受像器が。「な…なんだ、これは。ここはテレビの修理屋じゃないぞ!」と怒る院長を、助手達は「手術を受けるのは、先生、あなたです…」と押さえ付け、「このテレビを見なさい!」と院長をテレビに向けます。すると、テレビからは渦巻き状の光線が!
院長が手術台に倒れ込むと、助手達が白い布を被せます。すると、「フラー!フラーィ!」と怪人の泣き声が。院長は瞬く間に怪人テレビバエに改造されてしまいました(演出の都合もあるでしょうが、これがまた実に早い。恐るべし、デストロンの科学技術。そして、第一総合病院は、デストロン付属病院になってしまったのです。
翌日の第一総合病院。一人の患者が診察室に呼ばれます。患者が院長の前に座ると、「今日は特別の診察をする」との言葉と共に、院長はテレビバエに変身。その四角い目から、渦巻き状の催眠光線を患者に浴びせます。すると、患者は「デストロンに忠誠を誓います…」とつぶやきます。
デストロンの首領は、テレビバエの催眠光線を使って、東京中の人間をデストロンの思うままに操ろうというのです。
場面は変わって、岸壁で海に向かって叫ぶ立花のおやっさん。「猛ーー!隼人ーー!!」。おやっさんと風見が海に献花します。波に揉まれる花束…。
「それにしても、ライダー1号・2号でも倒せなかったデストロン!
初めて会う恐ろしい組織だ!!」とおやっさん。「こうしている間に密かにどこかで…」と風見は、隠密潜行するデストロンの活動が気がかりのようです。「そのために少年ライダー隊があるんじゃないか」とおやっさんが応えます。「しかし、本部は…」と、風見は地中に沈められたライダー隊本部のことを言います。しかし、そんなことでめげるおやっさんではありませんでした。既に、新しいライダー隊本部を作っていたのです。もしかして、立花のおやっさんは、とてもお金持ちなのではないでしょうか。
おやっさんが、セントラルスポーツ店に風見を案内します。店の奥に入り、棚のボーリングのボールを並べ替え、一つのボールにペンダントで光を当てると、棚が壁ごとスライドし、奥に部屋が。そこには、なんと、あの珠純子さんが居ました。
風見は険しい顔して「お願いしたはずです。決して近づくなと!」と、純子さんに厳しい言葉をかけます。「純子さんの気持ちも察してやれ」と優しいおやっさん。純子さんは、純子さんで、「志郎さんにはご迷惑をおかけしません!」と、負けずに、風見のことをちょっと怖い顔で睨みつけます(この顔がまた可愛いのです)。と、そんな時、セントラルスポーツ店に来訪者が。おやっさんが応対に出ると、なにやら開店祝いの花輪が届けられたとのこと。送り主は、なんと、デストロン!送り主の住所は「中央区高千穂1の13」。
風見は、早速、バイクをとばします。
そこは、人の住まない倉庫街でした。到着した風見が辺りを見回すと、早速、デストロン戦闘員のお出迎えです。「ほう…まんざらデタラメの住所じゃなかったらしいな」と風見。戦闘員達と戦闘開始です。貨車の上に飛び乗り、戦闘員と戦う風見。もちろん、スタントなしで宮内氏自身のアクションでしょう。「逃げるとはデストロンの戦闘員らしくないぞ!」と、逃げる戦闘員を追って、風見は倉庫の中へ。
すると、そこに待ち受けていたのはテレビバエ。風見は、戦闘員に両脇を押さえ付けられ、催眠光線を浴びせられます。このままでは、催眠光線の餌食になってしまうと、力をふりしぼり、戦闘員をなぎ倒すと、V3に変身です。
V3は、テレビバエと共に、天井を突き破って、屋外に出ます。太陽の下では、テレビバエの催眠光線も効力が半減するようです。屋外で戦うV3とテレビバエ。デストロンのアジトには、テレビバエから、V3との戦闘の様子が送信されています。首領は、それを録画するよう命じます。テレビバエは、ひとしきり戦うと、空を飛んで逃げていきました。と、ここでCM。
デストロンのアジト。首領は、テレビバエに、コンピューターが計算したV3のデータを基にV3より優れた改造人間をデストロン付属病院で作ることを命じます。しかし、コンピューターは、「V3ノデーターワコンピューターデワヤレマセン」というと、火を噴いてしまいました。うろたえるテレビバエ。しかし、首領は、冷静に「早く火を消せ!
そして、まず、風見志郎の声を作るのだ」と命じます。
セントラルスポーツに電話がかかってきます。おやっさんが電話を取ると、風見が交通事故で大けがをしたとのこと。おやっさんは、デストロンの罠だなと疑いますが、風見の声で「おやっさん、俺です。うかつだった…」と言うではありませんか。おやっさんは、第一総合病院に向かいます。電話の向こうの例の院長の傍らには新怪人の影が…。
第一総合病院の待合室のおやっさん。変装のためでしょうか、眼鏡をかけ褞袍を着込んでいます。おやっさんは、こっそりと診察室に忍び寄り、鍵穴から中の様子を探ります。そこには、デストロンに忠誠を誓う男が見えます。おやっさんが、驚いて振り向くと、待合室にいた人たちに取り囲まれています。彼らは戦闘員に変身し、おやっさんを診察室の中へ連れ込みます。
そして、テレビバエがおやっさんに催眠光線と浴びせようとした、その時、風見志郎が乱入してきます。おやっさんは、なんとかその場を逃れますが、風見の首にはオレンジ色の触手が絡んできました。天井には、新怪人イカファイアが!触手を首に巻いたまま、風見はV3に変身。V3対イカファイアの戦いが始まりました。
一方、病院から逃げ出してきたおやっさんが、自分の自動車に乗り込むと、そこには、既にテレビバエが待ち受けていました。おやっさんに催眠光線を浴びせるテレビバエ。その様子を、物陰から純子さんが見ていました。
屋外でイカファイアと戦いを続けるV3に純子さんから、立花のおやっさんがテレビバエに拉致されたとの通信が入ります。V3ホッパーを使い、自動車を発見すると、V3はハリケーンに跨り、これを追跡します。
おやっさんは、既にテレビバエの術中にあり、テレビバエの指示通りに自動車を運転しています。これを追跡してくるV3。テレビバエは、自動車を海へと向かわせます。これは、イカファイアにとって有利な海に、V3を誘い出すための罠だったのです。
テレビバエから連絡を受けたイカファイアは、砂浜の中から姿を現し、砂浜を走ってくるV3に挑戦します。「行くぞ!イカファイア!!」と、V3はキックを浴びせますが効果がありません。砂地がV3のエネルギーを奪っているのです。自らに有利な海で戦っているイカファイアは、「どこからでもかかって来い!」と自身満々です。反撃し来るイカファイア。
そして、「貴様の弱点を身体で教えてやる!」と、ダブルタイフーンの右に墨を吹きかけます。回転が止まるタイフーン。続いて、左のタイフーンも。右のタイフーンにはライダー1号の技が、左のタイフーンにはライダー2号の力があるのです。両方のタイフーンを止められたV3は、ライダー1号・2号から受け継いだ能力を失い、イカファイアに押しまくられます。左手の火炎放射器で攻撃するイカファイア。身体の炎を海の水で消すV3。「ライダー1号・2号が全勢力を注いで俺を改造した。あるはずだ。俺にも隠された力が…」と、ピンチに陥りつつも、必死に打開策を模索するV3。しかし、イカファイアと共に海に沈むV3。そして、再び浮上してきたイカファイアは、気絶した風見志郎を抱えていました。
さっそく首領は、風見志郎=仮面ライダーV3の死刑執行を命じます。風見は、棺桶の中に閉じこめられ、釜戸の中へ。
そして、イカファイアの火炎放射器により火が付けられます。燃え上がる3000度の劫火。棺桶の中で、目を覚ました風見は「絶対、イカファイアに優る力があるはずだ」と思案を巡らせています。
早くも、V3、大ピンチ!