作詞 阿久悠
作曲 三木たかし
編曲 三木たかし
今回のコロムビアシリーズ第3弾は石川さゆりのファンキー演歌「砂になりたい」をご紹介します(オリコン最高位35位、売上5.5万枚)。
「沈丁花」で一息ついてしまった彼女が起死回生の一発を狙い、阿久+三木の大ヒットコンビに戻した旅情歌謡でしたが、セールス的にはヘビーに終わり長い低迷期を迎える事となりました。
作詞は阿久悠。津軽海峡~能登半島~南国土佐と来て今回は山陰本線・砂丘が舞台です。恋に破れた女がひとり、心を砂に見立て、救いようの無い気持ちを切々と綴っています。全然恋人の事を忘れられない未練が全体に振り撒かれ、いかにもプロっぽい仕上がりです。
作曲は三木たかし。ゴージャスなワルツを書いたりPOPなものを書いたり幅広いですが、この曲は元祖「夜桜お七」とでも言うべきファンキーなメロディーを持っています。rit—から入る大袈裟なAメロ。同じメロディーが曲の最後も飾ります。主音で終わらないのもミソ。以降筒美京平も真っ青な程様々な動機が出てきます。テンポはミディアムスロー。ゆたっりした8分音符と畳み込みかける16分音符を使い分けメリハリをつけています。
アレンジも三木たかし本人。派手で大袈裟。メジャー・マイナー、コード進行も複雑です。ベースが凄いんですよ。細かく動くは、チョッパー入るは、純歌謡曲とは違うアプローチ。リズム隊もタムが4拍で鳴ったり芸が細かいです。ピーヒャラ笛とストリングスがペンタトニックぽい雰囲気を辛うじて保っております。どこからこんなアイデアが浮かぶのでしょう。
ボーカルは声はまだ若いけど、貫禄たっぷりのさゆり節。単語の頭でしゃくりあげ、こぶしのまわしも超エロいっす。いい意味で迷いの無いいやらしさを感じます。それにしても当時3ヵ月ローテーションを基本にリリースを続けていたのは、当たり前の事とは言え、今の歌謡曲・演歌系では考えられないですよね。(『スーパー・ツイン 石川さゆり 風の盆恋歌』)
heaven and earth
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