作詞 高中正義
作曲 売野雅勇
編曲 高中正義・萩田光雄
ツッパリもここまで来ると、もはや明菜の範疇ではない
あからさまにツッパリをテーマにした作品は、これでラスト。
そう言う意味では、「明菜流ツッパリ歌謡の集大成」とも言えるこの作品。
大げさなタイトルからも、その並々ならぬ意欲が伝わってくるような。
曲・アレンジも、その集大成の意味に応えるべくスケールの大きいロック調に仕上がっている。
作曲・編曲はどちらも高中正義(編曲は萩田光雄との共作だが)。
ギタリストらしい、低音から高音への盛りあがりで「聴かせる」曲作り・音作りをしている。
♪変えられないかぎり、限界なんだわ坊やイライラするわ~ の部分で特徴が顕著に出てる。
明菜もスケールの大きいサウンドに負けない、”ドス”を効かしたヴォーカルで対応。
売野雅勇も、ツッパリ歌謡の有終の美を飾るべく(?)、スター歌手に成長した彼女に合わせて、ちょっと大人の視点でツッパリを表現している。
ただ意図はわかるが、この「大人の視点で」というスタンスを取ったことが、結果として裏目に出たように思う。
というのも、明菜本来の個性は、あくまでも「強さと弱さを行き交う不安定」にあると思う。
これまでのツッパリ作品は「少女のツッパリ」だったから、主題が有する「少女特有の不安定さ」が、明菜自身の不安定な個性と上手くシンクロしていて、何の問題も無かった。
しかし、この作品では「ちょっと大人なツッパリ」を表現してるため、主人公が怖いものナシの姉御肌になっているのだ。山口百恵「プレイバックPART II」に出てくる女に近いものがある。これじゃ明菜の持ち味とは大きくズレる。
明菜自身、ツッパリではあるけれど、決して姉御肌ではないから。
この作品でのツッパリは、明菜が表現し得る範疇ではないと思うのだ。
まぁそうしたキャラとの不一致に目を瞑れば、よく出来た歌詞だとは思うけど。
むしろ、三原じゅん子が歌ってれば、なんら違和感は無かったかもしれない。
明菜以上に”ドス”の効いた歌唱が出来るし、見事なまでに彼女のキャラクターと一致した歌詞だから。
逆に嵌まりすぎて怖かったかも。
あ、明菜は歌詞に嵌まりきれないが故に、そのギャップが作品に不安定さを生み出し、その作品の不安定さが彼女のキャラクターの不安定さと上手く一致する・・・それを狙ったってこと?
だとしたら、このスタッフはものすごい才人かも。単なる買い被りかも。(1999.11.19)

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