70-80年代アイドル・芸能・サブカル考察サイト

小泉今日子『迷宮のアンドローラ』

小泉今日子『迷宮のアンドローラ』
発売日 1984.09.21
作詞 松本隆
作曲 筒美京平
編曲 船山基紀

小泉今日子の最高傑作

この歌は世界的に有名な、某イラストレーターの展示会テーマソングとしてリリースされた。
さすがにそそうの無いように、今回「ブッ飛び路線」は一休みして、松本・筒美・船山という、非の打ち所が無いベストな布陣による、小泉気合の一作となった。
テクノアイドル歌謡の先駆である、榊原郁恵「ロボット」と同じスタッフであることからも察しがつくように、今回はテクノポップ。
「まっ赤な女の子」は歌謡曲純度の高いテクノポップだったが、「迷宮のアンドローラ」は展示会のテーマである”SF”に即した形で、洋楽センスをふんだんに取り入れた、SFチックでコズミックなテクノ歌謡に仕上がった。

まずアレンジだが、「艶姿~」同様にEW&Fっぽい要素はあるけど、ディスコ調ではなく、あくまでも打ちこみ主体のテクノポップだ。
しかし軽くは無く、スペーシーな小宇宙を表現すべく、SE多用で臨場感溢れるスケールの大きい仕上がりだ。

イントロからSF感バリバリ。
静寂なオープニングから歌い出しへの導入部分なんて、まるでジェットコースターが静かに動き出して、一気に加速するかのようにスリリングな展開。ディズニーランドの「スペースマウンテン」を彷彿とさせる、遊園地気分の面白さ。

このアトラクション感覚で、最後まで突っ走る突っ走る。
特にエンディングにかけて、次第に盛りあがって行く作りの終盤部分は、相当にエキサイティングだ。
さんざん盛り上げておいて、唐突に終わるのもジェットコースター的だし。
ただし、アトラクション感覚だといっても、コミカルではなく、結構シリアスなサウンドだ。

曲は意外とつまらない。まぁつまらないとは言いすぎだが、少なくとも、あんまり歌い上げるような作りではない。
♪浮かぶあなた~ の直後にひとしきりアレンジがスパークし、サビでもスピード感溢れるサウンドで疾走するものの、メロディそのものは”聴かせる”仕上がりではないし。
どちらかと言えば、スペーシーなアレンジを引き立てるかのような作りだ。
きっとこれは、最初からサウンド主体で制作する腹積もりだったのだろう。
確かにそのほうが”宇宙感”は表現しやすいだろうし。SF映画のサントラ、もしくはゲーム音楽みたいだ。

で、松本隆の歌詞だが、「Laser Beam」「Flying Sauser」など、コズミックなキーワードてんこ盛りで、意味不明で難解な内容が展開されるが、これは別に手を抜いているのではなく、サウンド主体のコンセプトに歌唱が入っても邪魔にならないよう、配慮した作りなのだと思う。変に内容があると、聴覚で楽しむにはかえって邪魔だし。

イメージの羅列に留めておいたのは正解。
この場合、メロディに歌詞がキチンと嵌まってるのかどうかが重要であって、そういう意味でも合格点だ。

かように、この作品は見事な傑作である。
小泉自身にとっても最高傑作に位置付けられる作品であると思うが、全筒美作品の中でも、かなりの傑作の部類に入るだろう。ただ、実際にこの歌を歌う時の、小泉の心境はどうだったのだろうか?
歌手にとっては、歌っていてもあまり面白くないメロディだろうし。
まぁ彼女は歌を聴かせる実力派ではないし、”キョンキョン”のイメージにもそこそこマッチした楽曲だったのだから、別に問題なしか。(1999.12.6)

 HAGGYの台所
 


情報提供・コメント

タイトルとURLをコピーしました